PIECES OF HASHIKURE'S BRAIN

人類の、いや生物のハシクレの存在が日々どういったことを考えているのか。怖いもの見たさで覗いてみるのもアリだと思いますよ

Voigtländer Vitessa Ⅲ型のお話

どうも、ハシクレです

 

先日、いやいや、もう結構前の話だが、ワタクシの通う大学が地元の大学枠で出展させていただいている写真展があり、それに向けて作品制作を当然ながらしなければならなかったのだが

困ったことに作品が全然ない

コレは今に始まった事ではないんだが、どうにもこうにも最近作品にできるほどの写真が撮れない

自分が好きな写真、最近の傾向だと陰影の強い光の印象的な写真を意識して撮影していて、そういうのはたくさんあるんだが、他人が見て良い写真だなと感じてくれそうな写真は全くと言っていいほど撮れない

撮る対象がみんな見慣れているであろう街が主で、光を印象的にするためという名目で暗く、時にはモノトーンで表現するのがどうにもウケが良くないのか

……と言うのは言い訳で、ただ単に下手なだけなんだがな。ワタクシと同じような考えで撮っていても、人を唸らせるような写真を撮る人はたくさんいる

それは自分が1番よくわかっている。だから、自分が撮った好きな写真に囲まれながら、「写真がない」なんて言っているのだ

今回展示した写真を決定した裏話をすると、まぁー写真がなかなか決まらなくて、締め切りギリギリまで先延ばしにしてたんだがな

ある日、会計の人が幹部LINEで「写真用紙とインクが足りないから誰か買ってきてくれ」と言ったもんで、しばらく様子を見てたんだが誰も返事をしない

大阪から通うワタクシなら都合がいいので、じゃあと「○○日(締め切りの2日前)に大学に行くのでついでに買いますよ」というと、すかさず部長から、「いつ額装するの?」と。

嫌な予感がした。完全に捕捉されたのだ。殺される

デ、デモ(動揺)、誰とは書かれていない。メンションもされてないので、念のため「私ですか?」(もちろんプライベートでワタクシなんて自称しないぞ)と返すと

「あなたです」……と

死んだ。さすがに大袈裟だが、かなり震えたし、コレは軽い脅迫である。許される行為ではないかも。全面的に自分が悪いことに目を瞑れば

「その日に額装するつもりです……」と震える指で返すのが精一杯で、その後の「了解です」の一言すら、刺さったナイフの柄尻にドロップキックを喰らわされたように感じた

と、まだまだ続くが、思ったより長くなりそう(前話だぞ)なんでここから早足で行くと、その日は頼まれたモノ買って大学に行ったが写真は決まっておらず、一応絞ってきた候補10枚を印刷して並べ、上から眺める

やはりプリントにしないとダメだ

それでも決まらない。一枚じゃ勝負できそうにない

決まらないので部長に今から組で出していいかと聞くとなんとOKが出たのだ。あんなに脅迫しておいて(していない)、ここは優しい

晴れて、ワタクシの作品は決まった。とはいえ、自信を持って決めた物ではない。特にあんな、写真猛者の集う写真展に出すとなると恥ずかしいもんだが、仕方ない

もっと作品性のある写真を撮れるように頑張りたいもんだ

では、長くなりましたが、本題です

Voigtlander(正しいつづりは打ち方がわからなかったためご容赦)VITESSA

レビューと言えるほど大そうなことは書かないし、書けない。なんで、ワタクシが彼に触れてみて、使ってみて感じたことを書くにとどめる

なんとなく舶来カメラが欲しい気分だった。それにレンジファインダー。できればドイツがいい

でも、Leicaはなんとなく嫌だった。というか買えない。それに、有名すぎるしね

そこでVoigtlanderに的を絞ったのだが、当初はコシナ傘下時代のレンジファインダー機であるベッサシリーズにする予定だった

しかし、これらも学生がふらっと買うには高いのだ。加えて、せっかくなのにコシナ傘下って舶来とは言えない。かっこいいけど

そして思いだした

変なギミックの面白いのがあるじゃないかと

それがVITESSAであった

厳密にはレンジファインダーとは言えない気もするが、気にしない。かっこよくて面白ければ良し

革(グッタペルカでしたっけ?ライカ以外にも使われてんのかわからんけど)といい、クロームパーツといい、非常に質感が高い。写真を撮る機械として以上の価値が込められたかのような雰囲気をまとっている

ワタクシが出会った個体はアクセサリーシューが付いているがライトバリューもセレン露出計も非搭載である無印VITESSAである。レンズはカラースコパーを搭載

無印(つまり初代)には大きく分けれ三種のパターンがあり、一般にそれらを非公式ではあるもののⅠ型、Ⅱ型、Ⅲ型としている。この個体はカラースコパー・アクセサリーシュー搭載であることから無印Ⅲ型と推測できる

レンズがない!と焦るなかれ。レンズ様は真正面の観音扉の向こうに鎮座しておるのだ

ではどうやればそのご尊顔を拝することができるのか

それは、正面左側上面、銘板の上のポッチをぽちちと押せば勢いよく飛び出してくる

プランジャーという”煙突”(ワタクシはツノと呼びたい)を突き出し、戦闘モード
フラットで上品だった印象の収納時とは一転、メカ部、蛇腹、レンズをむき出しにしたその姿は精悍さを感じるような、頼りになりそうな感じである

見慣れない”何か”も一緒に

快音を響かせ飛び出したこの棒はプランジャーという代物で、ひとたび押し込めば謎のボイスとともに光を放ち仮○ライダーに変身できる、ではなくシャッターチャージと巻き上げをしてくれる。巻き上げレバーと同じ仕組みである

この”ツノ”と観音扉がVITESSAの収納性の鍵となっており、限りなく突起を減らすことで出し入れで引っかかることなく素早く撮影できるというわけ

無印Ⅰ型に関してはアクセサリーシューすらないので取り出しはよりスムーズ。まさにVITESSA(フランス語で”速度”らしい。転じて”速写”か。ドイツ語じゃないんだな)

ちなみに、プランジャーと観音扉はシャッターボタンを押せば勢いよく作動するのだが、衝撃が強いらしくメカ部にダメージが入る。作動時は手で押さえつつゆっくり作動させるようにしたい

さて、これで彼の紹介は以上である。この前現像から上がった写真を数枚紹介して締めるとめるとしよう。写真はすべてILFORD XP2 superで撮ったものである

この写真含めほとんどが、f5.6で撮っている。広角気味であることも相まって、パンフォーカスっぽくなっている。

前ボケを入れた一枚。もっと開けてもよかったと思うが、ボケ単体で見ればそこまでうるさいとは感じない。

明暗差の激しいシチュエーションだがいい感じ。正直ウルトロンがよかったが、カラースコパーには口径を抑えたレンズなりの堅実な写りがあるのか。バキバキともいえるほどに鮮明である

VITESSAの名に恥じぬ速写性。写りからもまさにスナップカメラといった印象を受ける。

それではこの記事はここまで

ではでは、さようならー